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愛知県埋蔵文化財センター  - 公益財団法人愛知県教育・スポーツ振興財団

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my weblog : 201206

6/27/2012

鹿乗川の橋と遺跡をめぐる(7)

Filed under: - palace @ 4:31 pm

◎調査課の永井邦仁です。

 今回は再び岩根橋・岩根上橋に戻ってみます。現在、改築によって両橋は生まれ変わりつつあります。ところで、両橋間の距離(約200m)がだいたいお城の一辺に相当していることはご存知でしょうか。実は、台地側は岩根城跡という平城の遺跡なのです。

岩根城
▲画像1  岩根城跡と惣作遺跡遠景(平成23年度調査時:南から)

岩根城2
▲画像2  地籍図などから想定される岩根城跡

 岩根城は加藤氏によって築かれた中世の城館です。加藤氏は松平家譜代の家臣ですが、一族には豊臣秀吉に仕えた加藤嘉明もいます。

 土塁や堀は、江戸時代に崩され埋められたようですが、道路などの地割りに今もその名残をとどめています。平成14年度に安城市教育委員会が北東隅部分で小規模な発掘調査をしています。

 惣作遺跡の平成23年度発掘調査では、岩根城跡の東側低地を調査区(11A・B区)としました。岩根城に近い時期の遺構は、平安時代後期〜鎌倉時代の水田跡のみで、建物跡や屋敷地区画などは検出されませんでした。

惣作11B
▲画像3 惣作11B区の水田遺構(北半部は近世〜近代の鹿乗川流路:南から)

 水田などの耕作地を、岩根城や台地上の中世集落の人々が拓いていったのか、興味のあるところです。

惣作と岩根城
▲画像4 惣作11B区から見上げる岩根城跡

 鹿乗川左岸の台地上にはこの他にも小川志茂城跡や桜井城跡などの中世〜戦国時代の城跡が点在しますが、鹿乗川に直面しているのは岩根城跡のみです。


6/25/2012

日置八幡宮遺跡展 始まる

Filed under: - palace @ 8:45 am

◎調査課の蔭山です。

 6月9日の土曜日から、愛西市文化会館1階廊下にて『日置八幡宮遺跡展』が始まりました(7月8日の日曜日まで)。写真パネルだけの小さな展示ですが、色々なことが盛り込まれている(?)写真パネルの展示です。
 近くにお越しの際には、是非、ご覧下さい。

問い合わせ先:愛西市八開郷土資料室 電話 0567-37-4181

写真展1

写真展2


6/22/2012

トヨガ下遺跡 調査速報

Filed under: - palace @ 8:45 am

◎調査課の蔭山です。

 豊田市下山田代町地内にあるトヨガ下遺跡の発掘調査が本格的にスタートしました。調査の成果を、順を追って紹介していきたいと思います。

調査前
▲写真1:調査前のトヨガ下遺跡A区(南より)

 トヨガ下遺跡A区の調査前の写真です。南から写真を撮っています。南側(写真左)から続く道が山の斜面にのびています。この山道を歩いていくと、山側に直径2m程の落ち込みを発見しました(南側の炭窯跡です、写真2は東より撮影)。
南の窯
▲写真2:調査前の南側の炭窯跡(東より)

 昨年の試掘調査の成果などから、地表面に残るこの落ち込みは明治時代頃の炭窯の可能性があるとのことです。

北の窯
▲写真3:調査前の北側の炭窯跡(北より)

南の窯の東
▲写真4:東側半分を掘った南側の炭窯跡(東より)

 まず、南側に見つかった炭窯を調査しました。道から上がって穴に入る入口がありました。そして穴は一段掘り窪められて炭が溜まる堆積がありました。

北の窯の南
▲写真5:南側半分を掘った北側の炭窯跡(南より)

山道をもう少し登った北側の炭窯も調査しました。山側の壁の下部分がよく焼けていて赤くなっていました。埋め土の最後に炭層が流れ込んでいました。炭窯の穴の中から一段上がって入口があり、道につながっていたようです。

 この炭窯跡はほぼ、表土上から掘り込まれていて、新しい時代の遺構であると思われます。地元の記録では、明治から昭和の前半にかけて炭窯が盛んに営まれていたようです。


6/20/2012

平成24年度 埋蔵文化財展のお知らせ

Filed under: - palace @ 10:00 am

愛知県陶磁資料館企画展
愛知県埋蔵文化財センター埋蔵文化財展
愛知県立大学地域連携事業

< 同時開催>
特集陳列1 東海最大の弥生集落−朝日遺跡の至宝
特集陳列2 愛知県埋蔵文化財センター発掘調査の風景

開催日時:2012年7月28日[土]~9月30日[日]
開催場所:愛知県陶磁資料館 本館 第1展示室・第2展示室・特別展示室

休館日●毎週月曜日
     ただし、9月17日(月)は開館、18日(火)は休館

開館時間●午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
     ただし、7月28日(土)は開会式のため、午前11時から

観覧料●( )内は20名以上の団体
  ① 一般  600円(480円)
  ② 高大生 500円(400円)
  ③ 中学生以下無料
  *割引制度(併用はできません)
   ・チラシ等に付属の割引引換券1枚につき1名、100円引き
   ・リニモ「藤が丘駅」・「愛・地球博記念公園駅」・「陶磁資料館南駅」・「八草駅」に設置の割引チラシ、リニモ一日乗車券、名古屋市営交通一日乗車券(ドニチエコきっぷを含む)、モリコロパーク駐車場再入場券、名都美術館観覧券の半券を持参の方は、観覧料が2割引になります。
   ・障がいのある方および付き添いの方には割引制度があります。

主催●愛知県陶磁資料館
  公益財団法人 愛知県教育・スポーツ振興財団 愛知県埋蔵文化財センター
  愛知県公立大学法人 愛知県立大学
  愛知県教育委員会
  中日新聞社

<<開催趣旨>>
 本展では、歴史文化の調査研究に携わる愛知県の諸機関が連携して、戦国時代の愛知県域について探求・紹介します。
 信長登場とその前後の時期に焦点をあて、尾張国の中核的な城館とマチ、やきもの、ヨーロッパの宣教師たちが見た愛知県域の姿などを通じて、戦国時代の人びとの暮らし・モノづくり・世界との関わりを紹介します。愛知県埋蔵文化財センター、愛知県陶磁資料館、愛知県立大学の共同企画展で、それぞれの持ち味をいかした展示内容になっています。
 本展で、激動と変革の時代であった戦国時代をみつめ、同じく激動と変革の時代である現代社会を生きる上で必要な、世界的・歴史的なつながりを感じ取っていただければと思います。
 なお、特集陳列1「東海最大の弥生集落−朝日遺跡の至宝」では、本年新たに重要文化財に指定される朝日遺跡(清須市ほか)出土品等によって、弥生土器の造形美を展示紹介。
 また、特集陳列2「愛知県埋蔵文化財センター発掘調査の風景」では、同センターの20年以上にわたる調査・研究活動の軌跡を、遺跡調査の写真パネルによってたどります。

 詳細は、ちらし ポスター をご覧ください。

<<関連事業>>

●埋蔵文化財講演会:「戦国尾張の城と町−安土への道、大坂への道−」

日時:9月9日[日] 午後1時30分~3時
講師:仁木 宏氏(大阪市立大学 教授)
会場:愛知県陶磁資料館 本館 講堂

●埋蔵文化財講座:「発掘された尾張守護所」
日時:7月29日[日] 午後1時30分~3時30分
会場:愛知県陶磁資料館 本館 講堂・第1展示室
講師:鈴木正貴(愛知県埋蔵文化財センター調査研究専門員)
*講堂での講義の後、展示室で「信長を生んだ戦国尾張」の展示解説を行います(本展の観覧券が必要です)。

●考古学セミナー:「あいちの考古学2012」
日時:9月30日[日] 午前10時~午後4時
会場:愛知県陶磁資料館 本館 講堂・講堂ロビー
発表:愛知県内で遺跡の発掘調査を実施している各種機関・団体
内容:考古学的な調査・研究の最新成果を報告します。

●あいち学セミナー:「大航海時代の戦国あいち」
日時:8月26日(日)、午後1時30分−午後4時
会場:愛知県陶磁資料館 本館 講堂
講師:服部光真(愛知県立大学大学院生・日本中世史)・
   大塚英二(愛知県立大学教授・日本近世史)・
   山村亜希(愛知県立大学准教授・歴史地理学)・
   アナ・ガルシア(東京大学准教授・中南米スペイン語学)
   総括:上川通夫(愛知県立大学教授・日本中世史)
内容:共同研究の成果を展示内容に基づき報告します。

●日替わり展示解説
  8月 5 日(日) 第1展示室「大航海時代の戦国あいち」 川畑博昭(愛知県立大学准教授)
  8月12日(日) 特別展示室「朝日遺跡の至宝」 原田 幹(愛知県教育委員会主査)
  9月 2 日(日) 第1展示室「戦国陶磁を探る」 小川裕紀(愛知県陶磁資料館学芸員)
  9月23日(日) 第2展示室「戦国陶磁の鑑賞」 小川裕紀
  *各回とも午後1時30分から(約30分)
  *本展の観覧券が必要です。

●ワークショップ
  7月29日(日) 「骨のペンダントを作ろう」
  8月 5 日(日) 「岩倉城の獅子頭を作ってみよう」
  8月12日(日) 「弥生土器の拓本をとろう」
  8月19日(日) 「かわいい水滴つくってみましょう!」
  8月26日(日) 「あなたも私も同じ仲間!? 古墳時代のフェイス・ペインティング」
  *各回とも午前10時−正午、午後1時−3時の間に随時
  ・会場:愛知県陶磁資料館 本館 特別展示室入口前
  ・講師:愛知県埋蔵文化財センター職員・愛知県埋蔵文化財調査センター職員
      愛知県教育委員会文化財保護室職員

(参考)愛知県陶磁資料館*陶芸ふれあい体験日
     愛知県立芸術大学学生によるロビーコンサート
  ・8月19日(日) コントラバス四重奏
  ・9月16日(日) 弦楽四重奏
  *各回とも12時15分開演、約1時間
  ・会場:愛知県陶磁資料館 本館 玄関ロビー(全席自由)
  ・協力:愛知県立芸術大学芸術創造センター

[交通]
1)リニモ(東部丘陵線)
   「陶磁資料館南駅」下車、北方向へ徒歩600m
(2)名鉄バス
   名鉄瀬戸線 尾張瀬戸駅から「愛・地球博記念公園駅」行き「陶磁資料館」下車
   ただし、土曜日・日曜日・祝日のみ運行。
(3)自家用車
  1. 東名高速・日進JCT−名古屋瀬戸道路・長久手I.Cから瀬戸方面へ約5km
  2. 東名高速・名古屋I.Cから瀬戸・豊田・足助方面へ約10km
  3. 東海環状・せと赤津I.Cから長久手方面へ約7km
(4)タクシー
  1. 地下鉄東山線 藤が丘駅から約10km
  2.名鉄瀬戸線 尾張瀬戸駅から約7km


6/18/2012

野添遺跡 調査速報

Filed under: - palace @ 8:45 am

◎調査課の永井邦仁です。

 豊橋市曲松遺跡の調査を終えた調査チームは、次に豊橋市石巻本町に所在する野添(のぞえ)遺跡の範囲確認調査を行いました。昨年度調査した東下地遺跡の北西に位置する、台地上の遺跡です。

地形
▲画像1:野添遺跡は台地南縁に位置します

 今から30年前の昭和57年度に、玉川小学校地内にある市民館の地点で豊橋市教育委員会による発掘調査が行われています。そこでは戦国時代から江戸時代初めの土器や陶器が多数出土したことが報告されています。今回の調査地点はそこから県道をはさんだ南側です。

試掘
▲画像02:第3試掘トレンチと背後は石巻山

 調査は、試掘トレンチをいくつか掘って、遺構や遺物の有無を確認するものです。江戸時代とみられる溝も検出されていますが、画像では竪穴建物跡がはっきりみえています。遺物は、平安時代の須恵器や灰釉陶器が多数出土しています。


6/14/2012

曲松遺跡 調査速報

Filed under: - palace @ 8:45 am

◎調査課の永井邦仁です。

 5月に、豊橋市大岩町で小規模な発掘調査を実施しました。東海道本線二川駅から東へ10分ほどのところにある、曲松(まがりまつ)遺跡です。付近は、江戸時代の東海道二川宿があった交通の要衝です。遺跡は、その南側を東西に流れる梅田川と南から流れ込む沢渡川の合流地点に位置します。調査区は、合流地点の左岸になります。

梅田川より
▲画像1:梅田川の南に位置する曲松遺跡

 南北に細長い調査区ですが、川に向かって緩く傾斜する台地面が残存しており、遺構の検出が期待されましたが、出土遺構・遺物ともにひじょうに少ない、という結果となりました。

Bb区
▲画像2:曲松遺跡12B区の遺構検出状況

 一番南の調査区は国道1号曲松交差点付近です。そこで8世紀末の須恵器杯が出土しましたが、残念ながら遺構は検出されませんでした。

12C区
▲画像3:曲松遺跡12C区出土須恵器

 実は、今回の調査区から東へ数十mの地点で、豊橋市教育委員会が平成19年度に発掘調査を実施しています。こちらも小規模でしたが、検出された溝から8世紀末〜9世紀前葉の須恵器や、10世紀代の灰釉陶器が多数出土しており、集落遺跡と評価されています。
 調査地点が少し違っただけなのに、これほどの差がみられたのはなぜでしょうか?まず集落規模がとても小さいことが考えられます。西方の本郷遺跡でも、平安時代の集落は台地縁の狭い範囲で検出されています。それと、沢渡川から離れると遺構・遺物が希薄になることから、集落が主に沢渡川沿いに展開していたためとも考えられます。

地形
▲画像4:周辺の地形


6/11/2012

鹿乗川の橋と遺跡をめぐる(6)

Filed under: - palace @ 8:45 am

◎調査課の永井邦仁です。

 寄島遺跡の平成23年度の発掘調査では、埋没した川の跡が検出されました。川の跡は北東から南西方向へ調査区を横切っています。もともと水流のある川でしたが、弥生時代後期あたりから流れが悪くなって沼地化が進み、黒色の粘土が厚く堆積していきました。

寄島11B
▲画像1:寄島遺跡11B区で検出された川の跡

 沼地化した時点での川幅は約20mです。ここからは弥生時代末期〜古墳時代初頭の土器や木製品が多数出土しました。沼地は窪んでいますから、土器捨て場になっていたのでしょう。注目されるのは、下懸遺跡の集落がある南側から捨てられた土器がひじょうに多いことです。これは川近くまで居住域だったためで、反対に、寄島遺跡側は居住域ではなく墓域が面しているので、土器がほとんど出土していません。

寄島土器
▲画像2:土器の出土状況

 ところで、鹿乗川流域で実施した当センターの発掘調査では、このような川の跡がほかにも姫下遺跡・下懸遺跡・惣作遺跡で検出されています。いずれも沼地化したところに弥生時代後期から古墳時代前期の土器が多数廃棄されています。
姫下18
▲画像3:姫下遺跡:平成18年度

下懸23
▲画像4:下懸遺跡:平成23年度

 なかでも下懸遺跡の川の跡は、沼地化した範囲だけでも幅約30m以上あり、寄島遺跡で検出されたものより格段に規模が大きいことから「本流」に当たると考えられます。一方で寄島遺跡の川の跡は、「本流」に流れ込む「支流」のような位置づけになるといえます。「本流」が、前回示した台地寄りの川の跡が相当するとしたら、下懸橋のすぐ北側で合流していたことになります。

寄島
▲画像5:寄島遺跡を南上空からみる

 いずれの川の跡も、古墳時代から平安時代の間に完全に埋没しています。したがって、それまでに新たな川の流れが完成しているはずで、私たちがまだ知らない地点に中世の川の跡があると想像されます。


6/4/2012

豊田市下山地区の発掘調査 その1

Filed under: - palace @ 8:45 am

豊田市下山地区の発掘始まる

◎調査課の蔭山です。

 豊田市下山地区の発掘調査が始まりました。
写真1は発掘調査をする前の猪移り遺跡のA区とトヨガ下遺跡A区の調査前の風景です。丘陵の谷間に水田がひろがっています。
これから夏にかけて調査をしていきます。また何か見つかりましたら、報告していきたいと思います。

Photo1
▲写真1:猪移り(いうつり)遺跡とトヨガ下遺跡

Photo2
▲写真2:猪移り遺跡A区の表土はぎ

Photo3
▲写真3:猪移り遺跡A区で見つかった縄文土器


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