◎調査課の伊奈です。
愛知県埋蔵文化財センターでは、国道363号線の改良工事に伴う桑下城跡の発掘調査を平成21年9月から12月の予定で実施しています。調査面積は2,100平方メートルです。平成16、19、20年度と続いた調査も本年度で終了となります。
桑下城跡は、瀬戸市北東部にある品野盆地の北東、標高210m前後の丘陵上に立地する平山城で、東西約220m、南北約100mの規模が推定されています。
丘陵南側の集落のある谷筋を水野川が流れ、信濃国へ続く中馬街道が通っていたとされています。一帯は尾張・三河の国境に近いことから、特に16世紀代には織田・松平(今川)の覇権争いの最前線となりました。
< <これまでの調査の概要>>
第1次調査(平成17年1月〜3月) 丘陵西端部の1,000平方メートル
曲輪(くるわ)と考えられる平場や武者走りと思われる平坦面を確認しています。
第2次調査(平成19年9月〜平成20年3月) 丘陵東側部分の4,000平方メートル
本丸では掘立柱建物と礎石建物、堀からは保存状態の良い和鏡などが出土しています。
第3次調査(平成20年8月〜平成21年3月) 丘陵中央付近の3,300平方メートル
本丸西部で堀や溝を、曲輪と考えられる平場で櫓跡や番小屋跡、井戸・溝・石組・池で構成された庭園跡などを確認しています。
▲遺跡遠景
今回の調査は、第3次調査の西側、曲輪と考えられる平場を中心とした調査です。
平場は9ヵ所確認でき、便宜上1曲輪から9曲輪と仮称して調査を進めています。中でも調査区中央南に位置する9曲輪は一番残りの良い曲輪で、面積約250㎡の広さです。石列をともなう溝が東西・南北方向に確認できています。溝の中からは城の時期と考えられる動物を模した水滴が出土し、特に猪の水滴は大変珍しい逸品です。水滴の他にも、茶臼、天目茶碗、茶入、合子、中国製染付椀、鉄製刀子、ガラス玉などが出土しています。
また、焼土層が見られ、被熱の痕跡のある石が石列に利用されていることから火災を受けたと考えられます。その他、別な曲輪からは石垣も見つかっています。
▲猪形水滴
▲鳥形水滴
▲9曲輪側面の石垣
▲発掘作業
現在、調査の途中ですが、是非とも皆様方にこの遺跡について知っていただきたいと考えております。
つきましては、説明会を下記のとおり開催いたします。地元の方だけでなく、多くの方のお越しをお待ちしております。
記
1 日 時 平成21年11月21日(土) 午前10時40分より1時間程度
2 場 所 桑下城跡発掘調査現場 瀬戸市上品野町地内
3 内 容 発掘調査で見つかった遺構の説明と見学、出土遺物の展示
4 調査主体 (1)委 託 者 愛知県建設部
(2)受 託 者 愛知県教育委員会
(3)調査実施機関 (財)愛知県教育・スポーツ振興財団
愛知県埋蔵文化財センター
(4)調査支援 国際文化財株式会社
5 そ の 他
当日は別途説明資料を配布し、30分程度調査研究員が説明を行った後、質問にお答えします。 なお、雨天の場合は中止します。(小雨決行)
*当日は駐車場に限りがありますので、公共交通機関のご利用をお願いいたします。
*現地は段差や、滑りやすい場所があります。当日はかかとの低い滑りにくい履物と動きやすい服装でおいでください。指定の見学場所以外には立ち入らないようにお願いします。
名鉄瀬戸線 新瀬戸駅より名鉄バス 上品野行き(品野行き)約27分(約24分)
瀬戸駅前(尾張瀬戸駅)より名鉄バス 上品野行き(品野行き)約16分(約13分)
参考:バス時刻 新瀬戸駅発 9時7分、37分(品野止まり)、10時7分
瀬戸駅前発 9時18分、48分(品野止まり)、10時18分
* あくまで参考ですので、必ずご確認ください。
(お問い合わせ先)
愛知県埋蔵文化財センター 桑下詰所 tel.0561-41-1509 担当:小澤、宇佐見、伊奈
国際文化財株式会社 桑下詰所 tel.0561-41-1519 担当:足立