栗狭間遺跡の調査速報
◎調査課の鈴木恵介です。
おかげさまで栗狭間遺跡14A 区の調査も終わりつつあります。
そこで、今回は14A 区で見つかった遺構-いこう-と遺物-いぶつ-をまとめて紹介します。
①竪穴状遺構-たてあなじょういこう- 平安時代後期の半地下式の建物跡です。古墳時代より前のものは竪穴建物(住居)-たてあなたてもの(じゅうきょ)-、後のものを竪穴状遺構-たてあなじょういこう-と呼び分けています。栗狭間遺跡で出土した竪穴状遺構から出土する遺物は灰釉陶器-かいゆうとうき-や土師質甕-はじしつかめ-があります。特に灰釉陶器の年代は遺構が異なっても同じ時期のものが出土していることから、ほぼ同じ時期にこれらの建物が造られたと考えています。
ところで、前回「出ない」と報告していた墨書陶器-ぼくしょとうき-がついに▲の遺構から出土しました。書かれている文字は「本」です。
②の範囲から縄文時代-じょうもんじだい-晩期-ばんき-(約3000 年前)の土器が多く出土しました。すぐにでも接合できそうなものもあり、この場所で壊れた可能性もあります。ただし土坑や溝などの遺構に伴わないため、堆積していた土ごと流れてきたのかもしれません。
③斜面を斜めに下る黒色土の堆積がありました。わずかですが縄文時代早期-そうき-(約8000 年前)の土
器・石器が出土(★のところ)しています。黒色土が縄文時代早期より後の時代に流れて堆積し遺物
が含まれたようです。
④水域。昨年度の調査では加工木片-かこうもくへん-が多く出土した自然流路の続きの部分です。今年度の調査ではまだ加工木片などは出土しておりません。
▲カマド跡
石が側面に立つ、石組みの構造を持ったカマド跡です。甕-かめ-の破片が前に散乱していました。
▲カマド跡
同じく石組みのカマド跡ですが、こちらは隣にほぼ完形の甕が据えられていました。
▲黒曜石
②の縄文時代晩期土器の包含層-ほうがんそう-から出土しました。石器の素材と考えられます。
▲墨書灰釉陶器-ぼくしょかいゆうとうき-
▲の竪穴状遺構から出土しました。字は「本」です。同じ文字は蔵平遺跡出土品にも見られます。
▲縄文時代晩期の土器を掘削中
②の範囲から多くの土器片が出土しました。
▲陥穴-おとしあな-を掘削中 大きさがよくわかります。