美浜町 権六遺跡(ごんろくいせき)の調査速報
◎調査員の蔭山です。
10月中旬から知多郡美浜町大字野間字権六の権六遺跡の発掘調査をしています。4つの調査区に分けて調査を進めています。前半の2つの調査区の調査が終了したので、その成果を報告します。
権六遺跡は、名鉄内海新線野間駅から北東約100m の山裾にあります。
調査区は、東西に細長く連なっています。
14A 区では、江戸時代後期以後の自然流路と、南北方向と東西方向にはしる溝が10 条程みつかりました。溝は、平安時代末〜鎌倉時代のものと江戸時代のものがあると考えられます。
14B 区の調査区では、500 基を越える土坑や柱穴、溝がみつかりました。主な遺構は、平安時代末から鎌倉時代の掘立柱建物1 棟、竪穴建物1 棟、柱穴列4 条、江戸時代後半の井戸1 基です。
14B 区の柱穴の一つを半分に断ち割り、断面を調べた時の写真です。中央に木材が残っていました。
▲[画像6]14B 区の掘立柱建物
(東より、手前にある大型の土坑は、江戸時代後期の井戸)
この掘立柱建物は、桁行3間、梁行1 間の東西棟の建物です。この建物に関わる柱穴は、柱穴列のものより大型でした。
この竪穴建物は、柱穴列の南に確認できました。長辺2.7m、短辺1.6m、深さ10cm で、比較的小さな建物です。この竪穴建物周辺は、先の掘立柱建物の周辺と異なり、柱穴や土坑、溝などがたくさん密集していました。写真奥に見える十字の土手に残している部分は、カマドです。
カマドの拡大写真です。十字の土手を残して、橙色に焼けた土の上面まで掘ったときのものです。写真奥側の飛び出た部分は、カマドの煙道だと考えています。