滝町古窯跡 その2
調査課 武部です。
その後の調査において、人物の顔がヘラ描きされた窯道具をはじめ特異な資料がいくつか見つかりました。
画像の資料は径約12.8cm、厚さ1.8cmの円板状のエブタと呼ばれる窯詰の際の窯道具の一種で、平らな面全体いっぱいを使って顔が刻まれています。前で髪を分け、細い眉と目はのびやかな筆致で一気に引き、眼は断面の円い刺突具を用いて表現されています。耳たぶは大きく、幅のあるだんご鼻と少し笑みを浮かべた口元などの表情にどこかユーモラスな印象を受けます。ヘラ描きのある資料は他にも花や家紋状のもの、人名など数種類がみられます。
遺構では窯体の一部(胴木間と第1房あるいは捨間)が確認されました。横室型で縦狭間構造をもつ連房式登窯ですが、滝町古窯跡の事例は小規模である点に特徴がありそうです。
このような資料を精査していく中で、生産技術に瀬戸地域の影響が強く認められること、窯の操業が近世の19世紀前半の時期にも遡ること、経営にはこの地の寺院(滝山寺)が大きく関与した可能性があること、などがわかってきました。
今回の調査成果についての報告会を開催します。(ただし、調査区は公開していません)
詳しくは こちら をご覧ください。