蔵平遺跡(豊田市)の調査速報
◎調査課の町田です。
蔵平遺跡は9月の初めに、14B 区(西側斜面)のラジコンヘリコプターからの全景撮影及び14A・B 区の測量等が終わり、無事に調査が完了いたしました。
調査では古代の10 基の竪穴状遺構- たてあなじょういこう-、10 カ所以上の炉跡・カマド、土坑、柱穴等、150 余りの遺構が確認され、灰釉- かいゆう- 陶器碗、土師質甕- はじしつかめ-、土錘- どすい- 等の遺物が多数出土しています。
蔵平月報の最終回として、出土した遺物の中から、墨で文字が書かれた灰釉陶器と土錘を取り上げたいと思います。
YOU(有)は何しに?
蔵平遺跡では「有」、「本」、「大」と読める文字が墨で書かれた碗が出土しています。他にも文字がはっきりしてなくて、読めそうで読めない文字のものもあります。
現代でこそ、識字率- しきじりつ、字が読める人の割合- は100%近くありますが、平安時代は10%にも満たなくて、10 人に1 人も字が読める人はいなかったようです。つまり、文字が書ける人は限られた人・・・役人、僧侶とか地方の有力者?だったかもしれません。これらの器を使っていた人はどういう目的で来ていたのでしょうか?何かを採りに、あるいは何かを作りに・・・
▲底に墨書きが施された灰釉- かいゆう- 陶器碗(上から「有」「本」「大」)
なぜか?土錘- どすい- ?
蔵平遺跡では魚の漁に使われる投網- とあみ- や刺し網- さしあみ- の錘- おもり- として使われる低温で素焼きされた土製品、土錘が18 点出土しています。
面白いことに、その殆どは水辺に近い標高の低い場所からではなく、斜面の比較的高い位置から見つかっています。漁の最中に落としたものでも、上流から流れてきたものでもない・・・魚を獲った後に、網の修理やお手入れ・・・傾斜地での日常的な営みの一部だったのでしょうか?
▲左:蔵平遺跡から出土した土錘 右:土錘と漁網(イメージ画像)
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