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愛知県埋蔵文化財センター  - 公益財団法人愛知県教育・スポーツ振興財団

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my weblog : 埋文展こぼれ話(その4)

8/9/2012

埋文展こぼれ話(その4)

Filed under: - palace @ 1:55 pm

◎調査課の臨時調査員 うつけ博士です。

現在、愛知県陶磁資料館では、9月30日まで埋蔵文化財展「戦国のあいち」展を開催しています。今回は「信長を生んだ戦国尾張」のコーナーの隠れた見所の紹介の第4回目になります。

「信長を生んだ戦国尾張‐発掘された尾張守護所‐」では、尾張国の中心的な都市だった「下津」・「清須」・「岩倉」・「小牧」などを紹介しています。その内容は、それぞれの都市に建ち並ぶさまざまな屋敷の位置や形を想定復元し、そこから出土した特徴的な遺物を展示しています。

 各都市には、武家屋敷や寺院ばかりではなく、商人や職人が活躍した場所もありました。その活動の証拠を見出すことはなかなか難しいのですが、金属製品を加工する職人については、その産業廃棄物が現在まで残るためにその様子を知ることができます。

金属製品を加工する時は、高温に熱して素材を柔らかくして作業します。その際に、素材に含まれる不純物が排出されたり、炉の粘土が溶けたりします。そうした不純物が冷却して固まったものを滓(さい:鉄の場合「鉄滓」)と呼ばれています。発掘調査では、炉の凹んだ部分に溜まる椀型鉄滓(わんがたてっさい:写真1)が見つかることがよくあります。
椀型鉄滓
▲写真1:椀型鉄滓(わんがたてっさい)

 鉄製品の加工方法は、刃物など鉄素材を叩いて鍛える鍛造(たんぞう)と鋳型に流して成形する鋳造(ちゅうぞう)に大きく分けられます。ここでは、鍛造について説明してみましょう。

 鍛造(いわゆる鍛冶)の場合は、金床石(かなとこいし:写真2)に熱した鉄素材を置いて金槌で叩いて作業しますが、その時に独特の産業廃棄物が発生します。素材の表面についた滓が叩くことにより薄く剥がれた鍛造剥片(たんぞうはくへん:写真3)や、叩くことによって飛散した液体状の滓が空中で冷えて球状に固まった粒状滓(りゅうじょうさい:写真4)がその例です。写真の1目盛りが0.5mmなので、非常に小さい微小遺物であることがわかると思います。

金床石
▲写真2:金床石(かなとこいし)

鍛造剥片
▲写真3:鍛造剥片(たんぞうはくへん)

粒状滓
▲写真4:粒状滓(りゅうじょうさい)

 「下津」・「清須」・「小牧」では、こうした微小遺物が発見されていますが、特に「小牧」ではおびただしい量の鍛造剥片が発見されました。実質4年程度しかその役割を果たさなかった小牧では、かなり集中的にに金属加工が行われたことが分かります。

「戦国のあいち」展では、この小牧の大量の鍛造剥片が展示されていますので、ぜひ、その多さを自分の目で実感してみてください。(文責 鈴木正貴)



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