概要:
加原遺跡は、(愛知県の)豊川支流の連吾川左岸丘陸端に立地する遺跡である。弥生時代末期から古墳時代初頭と、平安時代から鎌倉時代の遺構・遺物が出土する集落遺跡である。特に平安時代が遺跡の主体であり、
灰釉陶器
・
山茶碗
だけでなく、
緑釉陶器
や
白磁
が出土しており、若干ながら
金属滓
もみられる事から、交易で器物を入手しつつ、生産工房を内包していた可能性が想定される。
時期は、10世紀初頭の設楽郡分置から設楽荘の成立と重なり、それとの関連が注目される。また、多数出土した当該期の
土師器甕
について、東海地域に分布する同一器種資料の胎土分析を実施し、その高い近似性を検出することができた。いくつかのタイプごとに特定の産地から供給されていた様相がうかがえる。