008:腕輪型土製品

内容

遺物名:腕輪形土製品

型式:土製品

概要:弥生時代中期後葉の方形周溝墓より出土。腕輪形の土製品で、外径10.5 cm・内径6.2cm(正円形として復原)、高さ0.6cmに復原される。外面は貝の放射肋を模したとみられるベンガラによる放射状の赤彩がある。外面の内外周に接する部分と内面全面も赤彩する。薄く精巧な作りである。

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場所

遺跡名:朝日遺跡

所在地:愛知県西春日井郡春日町下之郷地内

調査区:2004

経緯度:北緯35°13′23′′・東経136°51′18′′

研究

類例:腕輪形土製品の類例は、岐阜県今宿遺跡(弥生時代後期~古墳時代前期)に知られている程度である。また、同種の青銅製品は京都府芝ヶ原古墳(古墳時代前期)などで出土している。

評価:朝日遺跡や今宿遺跡の腕輪形土製品の原型は、南海に生息するオオツタノハを用いたオオツタノハ製貝輪と考えられる。腕輪形土製品の精巧な作りは、弥生時代の東海地方でオオツタノハ製貝輪が使用されていたことを想像させる。
同じくオオツタノハ製貝輪を原型とする製品として、前期古墳にしばしば副葬される車輪石が知られているが、車輪石をはじめとする古墳時代前期石製品誕生の経緯を示唆する資料としても興味深い。