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2007年04月12日
銅鐸の石製舌 西浦遺跡
●調査課の鈴木です。
この3月まで調査を行っていました豊橋市西浦遺跡で、「銅鐸の石製舌」が出土しましたので、これを紹介します。
【概要】
「舌(ぜつ)」とは、銅鐸の中につり下げて揺り動かして音をだすのに用いられるものです。青銅製や石製のものなどがありますが、今回出土したものは石製の舌です。
西浦遺跡から出土した石製舌は、棒状の溶結凝灰岩を使用しており、完全な形で残っていました。現存長約8.0cm、最大幅約1.5cm、重量約27.1gを測ります。全体の形状は、下端部は横断面が隅丸方形を呈し、上部に行くに従い扁平となり、頭部は表裏両面を平坦にして、その結果横断面で隅丸長方形となっています。下端部を丸く仕上げ、上部には両側より径4mm程度の穿孔が施されています。表面はきれいに磨かれて精巧に作られており、使用された痕跡もほとんど見られません。頭部の孔に紐をかけて銅鐸内部に吊したと考えられています。

【出土状況】
石製舌は、平成18年度に発掘調査された西浦遺跡E区で検出された古墳時代後期の竪穴住居跡2745SBが埋まった土の中から見つかっています。銅鐸の舌そのものは、古墳時代後期よりもっと古い時期(弥生時代)に製作・使用されたものと思われます。西浦遺跡は、弥生時代中期から古墳時代前期にかけての集落が広がっていたことが判明しており、何らかの事情で古い遺構や包含層に埋もれていたものが、古墳時代後期の2745SBに紛れ込んだのかも知れません。
【類例】
銅鐸の舌は、これまでに全国で約40例が確認されていますが、愛知県では朝日遺跡(清須市:弥生時代後期)、八王子遺跡(一宮市:弥生時代中期)、川原遺跡(豊田市:弥生時代中期)の3遺跡で各1点ずつ出土しており、本例で4例目となります。

服部信博さんの研究によると、銅鐸の石製舌は、銅鐸につるす方法から、頭部を穿孔したもの(Ⅰ)、頭部に溝を持つもの(Ⅱ)、特別な加工を加えず自然石を利用したもの(Ⅲ)の3類に分けられています。本例は頭部の表裏両面を平坦にして穿孔したⅠbに属しており、このタイプは三重県で3例、静岡県で2例、山陰地方で2例が確認されているだけで、愛知県でははじめての発見です。
今回出土した銅鐸の舌は、出土状態から時期を特定することはできませんでしたが、全国的にも珍しく貴重な資料といえましょう。
【参考文献】服部信博(2002)銅鐸に伴う「舌」について 愛知県埋蔵文化財センター 研究紀要 第3号.49-56p.

寄島遺跡