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2005年10月05日

考古学な古庭園散策 2

池の構造は結構複雑 —名古屋城御屋形庭園(2)—

●調査課の鈴木です。
名古屋城三の丸遺跡02区で発見された池(SX02)は、大きく見れば一辺が約10mの四角い形となりますが、実際にはそんな単純な形ではありません。東面と西面には半島状に伸びた張り出し部が突き出ており、南西部には緩やかなスロープがあります。南面には石材が抜き取られたと思われる大きな穴がたくさんあり、一方で、北面は平坦な漆喰壁の斜面が広がっていたと考えられる状態でした。
 こうした状態の違いは何を意味するのでしょうか?
suzu021.jpg
●池(SX02)の北面の様子

 日本の古庭園は自然などの風景を模して造形されることが多く、いくつかのパターンがあります。SX02の持っていた風景を復元してみましょう。
 まず、SX02の北面は石組が埋め込まれた痕跡がなく、平板な漆喰壁で覆われていたことから、北面を積極的に見せる意図がないと考えられます。つまり、これを逆に考えると、SX02の北側から南に向いて観賞した池であると想定できます。
 では、SX02の構造を北からみた風景に置き換えてみると、どうなるでしょう。正面(南面)には大きな石が埋め込まれた痕跡があり、右手の奥(南西部)には緩やかなスロープ、左右両側(東西両面)には半島状に張り出した岬がある、という形になります。張り出した岬は左右で雰囲気が異なっており、右側の岬には大小の石が埋め込まれた痕跡があり、左側の岬には白い玉石がちりばめられていました。
 さらに、これを自然の風景に置き換えて想像してみると、どうなるでしょう。水の流れは右手の奥のスロープから左手の手前に向かっており、実際に北面の東端では排水溝らしい遺構が発見されました。その水の流れに沿って、正面にはおそらく築山と石組が、右側の岬には磯を表現した磯浜が、左側の岬には砂浜を表現した州浜が順に展開していることが分かるのです。
 どうやら、池(SX02)は自然を模した庭園に伴うものと断定してもよさそうです。
suzu022.jpg●北から見た南面

正面に大きな石の抜き取り穴がいくつかあります。

suzu023.jpg●池の南西部

漆喰壁でつくられたスロープがあります。

suzu024.jpg●西側の岬

岬の周囲には石の抜き取り穴が並んでいます。

suzu025.jpg●東側の岬

岬の中腹では白い石で砂浜が表現されています。

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