« 2005年08月 | | 2005年10月 »
2005年09月28日
考古学な古庭園散策 1
池、発見! —名古屋城御屋形庭園(1)—
●調査課の鈴木です。
平成14(2002)年に行われた名古屋城三の丸遺跡の発掘調査で、江戸時代の庭園に伴う池(SX02)が発見されました。私にとっても、また愛知県埋蔵文化財センターにとっても、庭園遺構の調査はこの時が初めての体験でした。調査当初はよく分からないことが多かったのですが、専門家のご指導を得ながら調べていけばいくほど、この池には奥の深い世界が広がっていることが分かってきました。そして、いつの間にか、各地のお庭を見て歩く私の旅が始まってしまったのです(ちょっと大げさですが)。
これからしばらくは、庭園に伴う池(SX02)の姿を再現する謎解きについて、お話ししましょう。

●池(SX02):全体の様子
名古屋城三の丸遺跡02区で発見された池(SX02)は、一辺が約10mの四角い形で、深さが約1mの大きな穴です。
姿を現したその様子は、黄色をした地面が広がり、周囲には大小さまざまな穴がたくさん開いていました。一見、無味乾燥な雰囲気からは、とても庭園を思わせるようなイメージは浮かんできません。
しかし、これを詳細にみていくと、池の側面にはところどころに漆喰(しっくい)の壁が残っている様子が観察されました。漆喰の壁は、水漏れしないように石灰を混ぜた粘土で塗り固められたものです。この漆喰壁が壊された状態で発見されたので、SX02は水を溜めておく施設だということが分かりました。そして、SX02の南西部に巨石を1個据えて、その隙間が漆喰壁で覆われていた状態が確認されました。このことからみて、周囲にはあった大小さまざまな穴は、このような石材が抜き取られた痕跡ではないかと考えられました。
周囲に不規則に石がはめ込まれていた水を溜める施設とは何かと思い巡らすと、SX02は庭園に伴う池であったと考えることができるわけです。
●大小の穴
石が抜き取られた痕跡と考えられます。
●漆喰の壁
池の側面が漆喰で覆われた状態がところどころ残っています。
●巨石とその間を埋める漆喰の様子
2005年09月26日
赤色顔料
●調査課の堀木です。
最近、蛍光X線分析装置を使って、赤色顔料を測定しています。当センターの装置は、定量分析(元素ごとの%を求める分析)が苦手なので、どんな元素が含まれているかを調べる定性分析を行います。
おもに弥生時代の遺物に付着する赤色顔料を測定していますが、水銀を原料とする水銀朱にはなかなか巡り会えません。大半のものが鉄を多く含むベンガラと思われます。水銀はなかなか入手できない特殊な元素なので、顔料中に含まれていると、自信たっぷりで水銀朱と判断できますが、ベンガラは難しいですね。鉄というのは、どこにでも存在する元素なので、土器や石器に付着する赤いものが、人為的な顔料なのか、地下水等のいたずらで付着したものなのか、判断に困ることがよくあります。現在のところ、顔料と自然のものかの識別は、その付着状況や物質の形状から判断していますが、ベンガラ特有の元素の組み合わせ等を解明できればと考えています。
2005年09月22日
桜鐘古窯群 押印文
こんにちは、調査課の池本です。
現在、13世紀後半知多市桜鐘古窯群(さくらがねこようぐん)の整理作業と報告書執筆をしています。以前はここで桜鐘古窯群出土の鳥をモチーフとした押印文を紹介しました(2005.7.29)。その後整理作業も進み、遺跡全体の押印文が集計できたので紹介します。
今回の桜鐘古窯群の調査では7基の窯体を検出しました。出土遺物は整理箱に200箱と窯業遺跡にしては少ない量となっています。調査区が灰原に及んでいないことが主な理由です。それでも出土資料で確認できた押印文の総数は75種類もあります。このうち半分くらいが複数の窯体で確認できますので、窯体1基では12種類以上となります。
押印文はスタンプによるものです。スタンプ本体が生産作業下でどんな管理をされていたのかはよくわかっていませんが、スタンプの窯体間移動はそれらの有機的な関連性を示唆させます。また、前回も述べましたが、同じ押印文の土器を他の集落遺跡などから探し出すことができれば、流通状況の解明にも活用できるかもしれません。ただし、この作業とても大変です。資料は桜鐘古窯群だけで75種類もあるのですから。

2005年09月20日
報告書のデジタル編集
●調査課の赤塚です。

当センターでは、発掘調査報告書の内容についても、ほぼ全てにわたってデジタル化を実施しております。原稿の執筆から写真画像の処理、遺物のトレース図面や遺構図なども例外なくデジタルデーターにしています。それぞれの内容は適宜手を加えられ、編集用のサーバーに保管されます。調査員はそれぞれの思いをこめて、データーを加工し、編集用ソフト上でのレイアウトにも大変こだわっています。楽しみな報告書ができつつありますので、期待してください。
2005年09月15日
ガラス玉の化学組成
●調査課の堀木です。

15年度の夏に導入された蛍光X線分析装置。最近は、朝日遺跡出土のガラス玉の測定を行いました。弥生時代後期に属すると思われるガラス玉38点を測定しました。濃青色と水色の2種類の色がありましたが、化学組成に若干の違いがありました。また、昨年度測定を行った古墳時代後期のガラス玉とも化学組成が異なりました。近いうちに、整理・論文化して報告をします。
2005年09月12日
人骨のクリーニング
●調査課 堀木です。

写真は御山寺遺跡(岩倉市)から出土した人骨です。保存状態が悪く、土を取り除くのが大変です。でも、一期一会。このような出会いをしたからには、ちゃんとクリーニングをし、形質人類学の貴重な資料としての取り扱いをしなくてはいけません。そうすることが何よりのことと、考えております。
2005年09月09日
御山寺遺跡 03
●調査課 永井邦仁です。

御山寺遺跡(ごさんじいせき)05B区では、戦国時代につくられたとみられる東西方向の大溝や、古墳時代前期を中心とする竪穴建物跡多数が確認されました。名鉄犬山線から西側では基盤層となる礫層が地表面近くにまで及んでいます。大溝はこの礫層を掘り込んで造られ、そして大量の円礫で埋め戻されたことが明らかとなりました。
| コメント (0) | Category:発掘調査2005年09月07日
埋蔵文化財展 予報1
●調査課の赤塚です。
今年度の埋蔵文化財展は12月より安城市歴史博物館にて開催予定です。
テーマは「畏(かしこ)きものたち」
江戸時代の国学者である本居宣長は、著書『古事記伝』の中で「可畏(かしこ)きもの」をカミと定義してます。
発掘調査から発見された、様々な「畏敬の情」を考えることができる資料を展示してみたいと考えています。
はたしてどのような展示になるのでしょうか。
ただいまポスター思案中です。
2005年09月05日
愛知県陶磁資料館内 愛知県埋蔵文化財センター展示

「ぃやー、やーっと涼しなったが。どーしとった?」
「ほんと、あっついとえーれーなぁ。」
「ま、桃でも食べやー。」
愛知県陶磁資料館2Fで会いました。 ほかにも...
馬の群れがいて、胸を張った狛犬やシロクマ?
池には水鳥やカエルや金魚や亀、それからウナギ!
身近な生き物たちが、実に表情豊かに表現されています。
江戸時代の土人形たちです。
近ごろの食玩なんかに負けてませんよ。
「名古屋城三の丸遺跡 御屋形の陶磁器と土の動物意匠」
ただいま展示中です 10月23日(日)まで
調査課 武部でした。
2005年09月02日
鎌倉街道周辺遺跡 調査速報 002
調査課の鈴木です。
鎌倉街道周辺遺跡(かまくらかいどうしゅうへんいせき)は、稲沢市の東部にあり、青木川西岸に位置します。遺跡の中央部で現在の下津小学校付近に下津城跡があり、15世紀にはそこに尾張守護所があったと伝えられます。また遺跡の西方2〜3kmには古代の尾張国府跡があったとされています。今年の発掘調査は4月から始まっています。今回はその第2報をお届けします。
●遺跡全景

寄島遺跡