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- 中山砦跡は愛知県新城市乗本に所在する遺跡で、JR飯田線鳥居駅より東約1.0kmの地点にあります。この砦は、天正三年(1575)五月にあった長篠城・設楽ヶ原合戦に伴う乗本五砦の一つとして著名な遺跡で、文献資料よると、永正五年(1573)7月に徳川家康が長篠城跡を武田氏方奪還する際に、南に隣接する久間山砦跡とともに築かせたと伝えれています。
- 戦国時代の可能性が高い土塁1基と土塁に伴う堀切を2条確認できました。土塁は丘陵尾根に対して直角に設けられており、堀切は土塁の山側にありました。土塁の幅は4.5m、確認できる長さは12m程で、高さは堀切である02SD・11SDの底から2.25mありました。堀切は土塁の山側に並行してある幅1.2m〜2.0mの溝で、ほぼ同じ位置に1度の彫り直しが確認できました。堀切の断面は、「V」字状に掘削されていました。
- 鉄鏃が1点出土しました。基部が折れていますが、長さ10.4cm以上あるものです。刃部の平面は平方根で、刃部の大きさは幅2.0cm、厚み0.3cm、長さ5.5cmです。刃部に中には、長さ1.2cm、幅0.5cmの菱形の透かし孔がありました。この鉄鏃は、愛知県清須市朝日西遺跡の16世紀末頃の遺構から出土した鉄鏃と形状が類似しています。
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