付表5 |
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清洲城下町遺跡出土の金属関連遺物のうち分析資料に関する観察表 |
作成:鈴木正貴 |
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分析番号 |
調査区 |
グリッド |
遺構 |
日付 |
器種 |
重量 |
長径 |
短径 |
厚さ |
着磁 |
メタル |
資料を九州テクノリサーチに提出する前段階の観察所見 |
九州テクノリサーチ提出後の所見 |
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1 |
1KJ10A |
3573D |
191SK |
100621 |
1/2分割椀型鉄滓 |
43.2 |
5.2 |
4.0 |
2.4 |
1 |
× |
上下面と右下側面が生きている。上部角部に土砂の固着した部分があり、上面は中央が凹み大きく波を打つ。表面は微細な鉄片や粒状滓様の細片が多数付着し、滓表面はあまり見えない。暗茶褐色を呈する。滓本体は黒灰色でやや光沢があり、小規模の気孔が散見される。石片や植物質痕がかみ込む。下面は大きく平滑だが、細かく凹凸があり、表面はやや大きめの鍛造剥片様のものが多数と白い石片が少数かみ込む。分析に際しては特に指定はない。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。鍛造剥片がどういう過程で付着するのかがやや疑問。後世の固着なのか? |
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2 |
1KJ10A |
3573D |
191SK |
100621 |
流動滓 |
21.2 |
5.8 |
2.5 |
2.1 |
2 |
× |
羽口の先端(あるいは椀型鉄滓か)の上部にに付着した流動滓と見られる遺物で、下部の破面にその本体が接続したものと思われる。部分的に礫や滓が剥がれた面も認められるが、他は生きている。形状は不定形な棒状で、表面はやや大きく波を打つ。表面は灰黒色で光沢がややあり、紫色に発色する部分(約30%)がある。大きめの気孔が散見されるが、破面を中心に小規模気孔が部分的に集中する。着磁部が偏在することから右上方の塊状部を切断し分析か。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。炉材に混和された真砂という認識はこれまでになかった視点である。 |
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3 |
1KJ10A |
3573D |
191SK |
100617 |
重複椀型鉄滓 |
83.8 |
7.4 |
6.1 |
3.2 |
1 |
× |
上下面と左側面が生き、右側面は大きく欠損する。上面は中央で大きく凹み細かく波打つ。凹部表面は灰褐色から茶褐色を呈し部分的に紫色が見られる。上表面では気孔は特に認められないが、破面に細かい気孔がある。中央凹部から一部凸部にかけて細かい滓片(一部鍛造剥片か?)や植物質痕が銹着し茶褐色を呈する。破面に近い部分に炉材2箇所が見られ、これが羽口の一部と見られる。下面(裏面)は、下部が大きく盛り上がり全体に凹凸が激しい。三重に重複する椀型鉄滓か。下端凸部の表面は光沢が強い黒灰色で細かく滑らかに凹凸があり、破面で小規模気孔が存在する。それ以外の大部分は鍛造剥片様滓片や白い石(1〜2mm)、粒状滓、植物質痕などが多く銹着。着磁が偏在する部分で切断分析か。 |
分析項目は妥当と思われる。こちらでは、木炭痕がある面を上面として認識していたので、この点の評価は異なる。 |
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4 |
1KJ10A |
3573D |
191SK |
100617 |
流動滓 |
5.1 |
3.4 |
2.1 |
1.7 |
1 |
× |
現状では流動滓と言わざるを得ないが、大型滓の一部が剥離したものの可能性が高い。上面と前後右側面は生きており、下面と左側面が欠損する。上面は大きく2つの凹部が存在する。右側凹部は大きくは平滑であるが、細かく球状で緩やかな起伏が認められる。表面は黒灰色から紫褐色を呈しわずかに光沢があり、一部が銹化する。気孔はほとんど見えない。一方、左側凹部は破壊されていることもあって大きく激しい凹凸があり、表面は黒褐色を呈して気孔が多数見える。これに対し、下面は左側に植物質痕があり、右側には炉材が付着する。表面は紫褐色〜黒褐色でわずかに光沢が見られるが、平滑とは言えない。 |
分析項目は妥当と思われる。炉材熔融物の割合が高い滓という認識は共通する。完形ではなく、大きな鍛冶滓の一部と認識していた。 |
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5 |
1KJ10A |
3573D |
191SK |
100617 |
鉄塊系遺物 |
40.8 |
5.0 |
4.9 |
1.4 |
1 |
× |
本体の厚さが約8mmの鉄片。外周囲は欠損していると思われ、本来の形状は不明。銹化による破損で右側はさらに欠けていると思われる。表面に鍛造剥片様遺物や粒状滓などの微細遺物が多数銹着し、炭化物や植物質痕も認められる。その内部(地肌)では、銹化した部分がひび割れ、紫褐色〜黒褐色を呈しほとんど光沢は認められない。分析部位は特に指定しない。 |
分析項目は妥当と思われる。鋳造鉄器片という認識はなかったが、内部は層状になっていないlことから、いわれてみればそう思う。 |
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6 |
1KJ10A |
3572C |
012SX |
100528 |
1/2分割椀型鉄滓 |
30.3 |
4.5 |
4.4 |
2.6 |
0 |
× |
上下面と左端側面が生き、右側は大きく欠損し、前後側面は細かく破砕されている。上面は大きくは平滑だが、緩やかに波打つ。気孔は大小さまざまな規模のものが多数見られ、結果細かく凹凸が激しくなっている。灰褐色〜紫色〜黒褐色を呈しやや光沢がある。下面も大きくは平滑、緩やかに波打つが上面よりも穏やかである。気孔の数も上面の3分の1程度で、光沢がやや強い黒灰色を呈する。形状は椀型鉄滓としたが、羽口先端部片のようにも見える。裏面中央付近で着磁が強い部分があり、そこが分析用ポイントとなるか。 |
分析項目は妥当と思われる。鋳造用溶解炉に付着する滓という認識はないため、こちらでは判断できない。そうだとすれば、溶解炉のどの部位で生成された滓が想定されるのだろうか。なお、10A区では取鍋も出土している。 |
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7 |
1KJ10A |
357I |
トレンチ |
100518 |
1/2分割椀型鉄滓 |
37.8 |
5.6 |
4.0 |
2.8 |
1 |
× |
上下面と右側面と後側面が生き、前側面と左側面は分割のために大きく欠損する。上面は大きく段差状に凹凸があり細かく波打つ。表面は光沢の強い黒褐色を呈す。大部分は土砂の固着が激しく内部の様子は見えない。部分的に小〜中規模の気孔が見られる。下面(裏面)は、大きく平滑で細かく波打つ。大部分は土砂の固着が激しく不明だが、部分的に観察できる表面は黒色〜黒灰色で光沢はわずか、細かいしわがみえる部分もあり粒状滓も付着するか。着磁がやや強い部分が2箇所あり、そこが分析用ポイントとなるか。椀型鉄滓だが、ガラス質の質感は軽い部類(ガラス質2)に該当する。 |
分析項目は妥当と思われる。羽口と接していた部分を認識することはできなかった。その部位を何らかの形でご教示いただけるとありがたい。 |
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8 |
1KJ10A |
357I |
トレンチ |
100518 |
流動滓 |
17.9 |
4.1 |
4.0 |
1.7 |
0 |
× |
上面と下面はほぼ全て生きており、一部の側面のみが小さく欠損している。上面は大きく平滑であるが、浅くかつ細かに波打つ。表面は黒灰色で光沢が強い。部分的に小石や滓片などが付着し、また土砂が固着した部分も存在するが、他は綺麗である。表面には気孔は特に認められず、破面に細かい気孔がある。下面(裏面)は、大きな凹凸が激しくみられるが、微細に観察するとなだらかである。黒灰色〜紫褐色を呈し光沢がある。表面はわずかに小規模気孔が認められる。ガラス質の先端が滴状に尖る部分が2箇所ある。着磁は弱くわずかに認められる前部で分析するか。羽口付近の流動滓か。 |
分析項目は妥当と思われる。表面の茶褐色部を固着と理解したが、指摘通り鉄銹化物の方が適切と思われる。 |
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9 |
1KJ10A |
357H |
トレンチ |
100518 |
羽口 |
40.1 |
4.6 |
4.3 |
3.9 |
1 |
× |
羽口片と見られる遺物だが、器種確定は難しい。先端面は大きくは平滑で、細かく凹凸があり、気孔が散見される。表面は黒灰色〜紫褐色を呈しわずかに光沢がある。羽口本体は粘土が熔融して発泡しており、乳白色〜灰黒色を呈する。先端外面付近に別滓(または含鉄遺物)が付着した部分があり、着磁反応がある。別滓(または含鉄遺物)は表面が銹着し茶褐色となるが、内部は黒灰色で光沢はない。 |
分析項目は妥当と思われる。鋳造用溶解炉内面の小破片という解釈は理解できる。 |
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10 |
1KJ10A |
357H |
トレンチ |
100518 |
羽口 |
23.0 |
4.4 |
4.2 |
1.9 |
1 |
× |
羽口片と見られる遺物。外面に滓が付着し、内面は付着物はなく粘土壁の状態である。表面が残存する部分と欠落した部分とがある。前者(残存部)では紫褐色を呈しわずかに光沢があり気孔が少量認められ、緩やかに凹凸が認められるものの大きくは平滑である。一方、後者(欠落部)では黒灰色〜灰褐色を呈しわずかに光沢があり、破損の結果表面は凹凸になっている。着磁反応がある部分を中心に分析を実施。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。面談の際にご指摘いただいた通りである。鋳造用溶解炉の羽口と推定したのは、内径の大きさが根拠か? |
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11 |
1KJ11A |
3567O |
0197SK |
110927 |
1/2分割椀型鉄滓 |
78.2 |
5.6 |
5.0 |
3.2 |
1 |
× |
側面の一部と上面が環状に欠損する椀型鉄滓である。上面は大きくは凹凸が激しいが、細かく観察すると緩やかでわずかに波打つ。外縁部は土砂の固着で褐色を呈し、中央は凹み茶褐色となる。破面は黒褐色で光沢はほとんどなく、特に下部で小規模な気孔が見られる。滓左側下部には剥離した破面があり、白い石や炉材がみられ、ここに羽口が取り付いていたものと想定される。右端部に着磁が強い部分があり分析部位はここを中心に設定したい。 |
分析項目は妥当と思われる。こちらでは、破損部がある面を上面として認識していたので、この点の評価は異なる。 |
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12 |
1KJ11A |
3567O |
0197SK |
110927 |
椀型鉄滓 |
46.9 |
5.5 |
3.9 |
2.3 |
1 |
× |
上面および右と後側面が欠損する椀型鉄滓である。上面は大きく平滑で、環状に欠落部があって滓内面が見える。内部は黒灰色で光沢があり、所々紫褐色を呈する部分がある。小〜中規模の気孔が多数見られる。中央部には表面茶褐色の植物質痕があり、隆起部も少し見られる。外縁部は土砂が固着し茶褐色を呈するが、左後部で灰褐色部になる部分がありこれが炉材であるように見える。滓断面で観察すると、上位は茶褐色で光沢はわずかで植物質痕が多く気孔が大きい。一方,下位(厚さ約5mm)は黒褐色で光沢があり気孔が細かく多い。下面は土砂の固着が激しいが、後半部は表面が見え、灰黒色で光沢はわずかであり、大きくは平滑で細かい起伏があるものの滑らかであった。右半部に着磁がやや強い部分があり、分析部位はここを中心にするのが妥当か。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
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13 |
1KJ11A |
土サンプル |
0197SK |
110928 |
鍛造剥片約35点 |
0.2 |
0.6 |
0.5 |
- |
1 |
○ |
0197SKは炭化物が互層状に堆積する廃棄土坑であり、この土壌を水洗篩別作業し着磁する微細遺物を選別した結果、扁平な遺物と球状の遺物を抽出することができた。本資料はその扁平な試料群であり、その中の一部が鍛造剥片である可能性を考えた。長径は最大でも約6mmを測る微小滓(鉄)片で、表面が光沢を持つものと持たないものの二者に区分が可能である。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。資料4と5は鍛造剥片の可能性が高いか。 |
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14 |
1KJ11A |
土サンプル |
0197SK |
110928 |
粒状滓3点 |
0.1以下 |
0.2 |
0.2 |
0.2 |
1 |
○ |
試料13と同様に0197SKの炭化物層を中心とした土壌を水洗篩別作業し着磁する微細遺物を選別したもののいうち、形状が球状となるもので3点存在する。このうち、1点は真球状に近い形状で粒状滓の可能性が高く、もう1点は滴状の突起を持つものであるいは粒状滓かもしれない。残り1点は滓片か礫片の可能性が考えられる。粒状滓の可能性が高い試料は直径が1.7mm程度である。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
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15 |
1KJ11A |
3567GL |
0276SK |
111004 |
羽口 |
27.3 |
4.0 |
3.8 |
3.6 |
2 |
× |
羽口片と見られる遺物。外面に滓が付着し、内面は付着物はなく粘土壁の状態であり、先端部を残していると思われる。その先端面は平滑で滑らか、表面は紫褐色を呈し光沢はない。気孔が2箇所見られ表面にはしわ状に波打つ部分も確認された。欠損部は灰色で光沢はわずか、多数の大小の気孔があり、高熱により熔融したものと見られる。中央にある着磁反応がある部分を中心に分析を実施。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
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16 |
1KJ11A |
3567IF |
0280SK |
111006 |
鉄塊系遺物 |
427.3 |
8.0 |
6.1 |
4.5 |
2 |
○ |
長方形廃棄土坑0280SKから出土した不定形のやや大型の鉄塊系遺物である。表面は土砂の固着が激しく欠損部の識別が難しい。固着した土砂中に微細滓片や粒状滓などの小片を多数かみ込む。表面は一部ひび割れてその内部は黒褐色を呈するが光沢があるようにはあまり感じられない。分析箇所はどの部分でも可能か。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。粗く鍛打成形された可能性を指摘する理由が知りたいところである。 |
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17 |
1KJ11A |
土サンプル |
0280SK |
111007 |
1/2分割小型椀型鉄滓 |
13.7 |
3.4 |
3.0 |
2.1 |
1 |
× |
炭化物が互層状に堆積する長方形廃棄土坑0280SKの土壌を水洗篩別作業し着磁する微細遺物を選別した結果、小型椀型鉄滓や粒状滓様微細遺物と鍛造剥片様微細遺物を抽出した。本資料は上面と下面と左側面が生きている小型椀型鉄滓である。右側面は明瞭に欠損し後側面も欠損している可能性が高い。上面は中央が大きく凹みかつ凹凸が激しく細かく見ても波打っている。表面は汚れているが、灰黒色で光沢があり、部分的に紫褐色を呈する。下面は大きくは平滑で細かくは波打つ。土砂の固着が薄く認められるが、表面は黒灰色でやや光沢があり小規模の気孔が少量認められる。一方、破面には大規模な気孔が見られた。下面中央でよく着磁するので、ここで切断するのが有効な分析方法か。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。このような、小型のガラス質滓が鍛冶?工程のどの段階のものか知りたいところである。仕上げに近い段階か? |
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18 |
1KJ11A |
土サンプル |
0280SK |
111007 |
鍛造剥片約30点 |
0.2 |
1.2 |
0.6 |
- |
1 |
× |
長方形廃棄土坑0280SK土壌の水洗篩別で抽出された鍛造剥片様微細遺物。本資料群は10点以上認められ最大で長径1.2cmを測るものも含む。表面が紫褐色でほとんど光沢を持たないものと黒灰色でわずかな光沢があるものに区分ができる。両者とも表面は細かく波打つように凹凸が認められ、酸化土砂が付着した試料も認められ、どちらかと言えば前者のタイプ(紫褐色)の方が規模が大きい。滓の微細破片のようにも見られ、鍛造剥片は存在しない可能施も高い。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。この試料ではマクロ組織分析も不要か |
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19 |
1KJ11A |
土サンプル |
0280SK |
111007 |
粒状滓4点 |
0.1以下 |
0.3 |
0.3 |
0.3 |
1 |
× |
長方形廃棄土坑0280SK土壌の水洗篩別で抽出された粒状滓様微細遺物。着磁した資料群の中で球状のものを4点選別したが、よく観察すると表面は角張っており、滓や礫の破砕片の可能性が高い。1点のみ球状に近いものがあり、これを分析するか。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。この試料ではマクロ組織分析も不要か |
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20 |
1KJ11A |
3567N |
0394SK |
111020 |
羽口 |
178.1 |
9.7 |
8.6 |
3.0 |
2 |
× |
口径が大きい(内径約15cmか)羽口先端部片である。内面は白色砂粒を含む明褐色粘土、破断面に見る壁中央部は灰褐色〜灰色〜黒灰色に変色し外面に行くに従い発泡が著しい。外表面は大きくは平滑だが緩やかな起伏を持ち細かな凹凸も見られる。表面は紫褐色〜黒灰緑色を呈し光沢はややあり、小〜大規模の気孔も散見される。やや大きめの植物質痕も見られる。先端面は大きくは平坦面をなすが、微細には凹凸が激しくゴツゴツした印象がある。部分的に銹化しており鉄片をかみ込むと見られる。光沢は基本的には見られないが、外面に近い部分では炉材が熔融しガラス質を生成した影響で光沢を持つ部分もある。青黒色を呈する部分で着磁が強い傾向があるように見え、ここを分析すると有効かもしれない。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。面談の際にご指摘いただいた通りである。先端部の「着磁性の強い滓」の評価が気になるところである(マクロ組織分析はここが対象か)。 |
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21 |
1KJ11A |
3565AB |
0452SK |
111019 |
椀型鉄滓 |
215.4 |
10.7 |
9.3 |
4.2 |
1 |
× |
ほぼ完形の椀型鉄滓である。右後方など側面の一部が欠損しているかもしれない。上面は大きく中央が凹み椀型を呈する。細か目の凹凸が多数激しく認められ、表面は土砂が薄く固着し銹化。後方部の先端を観察すると、黒灰色で光沢がややあるガラス質に小規模な気孔が多数見られる。下部は三重に薄く重複した状況と解釈され、表面は土砂の固着が激しく、わずかな植物質痕や炭化物が視認される程度であった。大きくは平滑で盛り上がるが、表面は細かくごつごつしているようだ。着磁が強い前部(突出部)を切断して分析するのが妥当か。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
22 |
1KJ11B |
土サンプル14 |
0508SP・0509SP |
111107 |
含鉄遺物 |
2.2 |
1.7 |
1.2 |
1.0 |
1 |
× |
近接して2個の金床石が埋設された遺構0508SP/0509SPの周囲の土壌を25cmメッシュで採取し、それぞれ水洗篩別作業を実施した。本資料は、その中で北側方形金床石の北東約70cmの位置のグリッド14で採取された遺物である。短く太い棒状含鉄遺物であるが、酸化土砂に覆われ形状は不明。X線写真の観察で、不正四角形の平面形を持つ板状製品かと見られる。わずかにひび割れたその内部では茶褐色を呈する。本資料は鉄素材である可能性を想定している。着磁が認められる。分析に際してはどのように切断しても可。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
23(1) |
1KJ11B |
土サンプル6 |
0508SP・0509SP |
111107 |
鍛造剥片2点 |
0.1以下 |
0.3 |
0.2 |
- |
1 |
× |
0508SP/0509SP土壌水洗篩別資料のうち、北側方形金床石の北50〜75cmのグリッド6で採取された鍛造剥片様微細遺物2点である。大きい遺物は表面が茶褐色、小さい遺物は灰褐色をそれぞれ呈しており、両者とも表面に光沢がなく、細かい凹凸がある。破砕された滓片の可能性が高いか。分析に際してはどのように切断しても可。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
23(2) |
1KJ11B |
土サンプル14 |
0508SP・0509SP |
111107 |
鍛造剥片5点 |
0.1以下 |
0.2 |
0.2 |
- |
1 |
× |
0508SP/0509SP土壌水洗篩別資料のうち、北側方形金床石の北東約70cmのグリッド6で採取された鍛造剥片様微細遺物5点である。最大の遺物は表面が黒灰色でやや光沢を持ち細かい凹凸がある。小規模遺物は1点は灰褐色でやや光沢を持ち細かい凹凸があるもの、2点は灰褐色でやや光沢を持ち平滑もの、残りの1点は礫状を呈するものであった。表面が平滑な2点が鍛造剥片の可能性があると見ておきたい。分析に際してはどのように切断しても可。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
23(3) |
1KJ11B |
土サンプル35 |
0508SP・0509SP |
111107 |
鍛造剥片2点 |
0.1以下 |
0.4 |
0.3 |
- |
1 |
× |
0508SP/0509SP土壌水洗篩別資料のうち、北側方形金床石と南側円形金床石の接する部分から東25〜50cmのグリッド35で採取された鍛造剥片様微細遺物3点である。2点は片面が茶褐色でもう片面が黒灰色を呈し、銹化して茶色を帯びるものである。残り1点は礫状を呈するものであった。全て破砕された滓片の可能性が高いか。分析に際してはどのように切断しても可。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
23(4) |
1KJ11B |
土サンプル36 |
0508SP・0509SP |
111107 |
鍛造剥片1点 |
0.1以下 |
0.3 |
0.2 |
- |
2 |
× |
0508SP/0509SP土壌水洗篩別資料のうち、北側方形金床石と南側円形金床石の接する部分から東50〜75cmのグリッド35で採取された鍛造剥片様微細遺物1点である。片面が茶褐色で光沢がわずか、もう片面が黒灰色を呈し光沢はわずかで、凹凸が激しいものである。破砕された滓片の可能性が高いか。分析に際してはどのように切断しても可。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
23(5) |
1KJ11B |
土サンプル44 |
0508SP・0509SP |
111107 |
鍛造剥片3点 |
0.1以下 |
0.4 |
0.2 |
- |
2 |
× |
0508SP/0509SP土壌水洗篩別資料のうち、南側円形金床石の東25〜50cmのグリッド45で採取された鍛造剥片様微細遺物3点である。大きい資料は表面が茶褐色を呈し凹凸が激しい。中規模な資料は黒灰色で光沢を持ち表面も滑らかなものである。小さい資料は茶褐色を呈し凹凸があり銹化しているものである。中規模な資料は鍛造剥片の可能性があると見ておきたい。他の2点は破砕された滓片の可能性が高いか。分析に際してはどのように切断しても可。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
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23(6) |
1KJ11B |
土サンプル71 |
0508SP・0509SP |
111107 |
鍛造剥片2点 |
0.1以下 |
0.3 |
0.2 |
- |
1 |
× |
0508SP/0509SP土壌水洗篩別資料のうち、南側円形金床石の南東約70cmのグリッド71で採取された鍛造剥片様微細遺物2点である。両者とも表面が茶褐色で光沢がわずかである。破砕された滓片の可能性が高いか。分析に際してはどのように切断しても可。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
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24 |
1KJ11B |
3565I |
0505SK |
111101 |
流動滓 |
6.0 |
2.6 |
2.5 |
1.0 |
0 |
× |
矩形に折れる棒状の流動滓である。表面は土砂が固着しあまり観察できない。滓中心部は灰色で光沢はなく中規模の気孔が見える。着磁はほとんどなくガラス質のみで構成されるか。分析に際してはどのように切断しても可。金床石が埋設された遺構0508SP/0509SPに近在する遺構0505SKから出土した資料でこの金床石に関連する可能性も考えられる。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
25 |
1KJ11B |
3565FJOT |
0513SD |
111110 |
1/2分割小型椀型鉄滓 |
25.3 |
4.5 |
2.9 |
1.5 |
1 |
× |
前部を大きく欠く1/2に分割された椀型鉄滓である。上面と下面と後部側面などは生きている。上部は大きくは平滑で緩やかに起伏があり表面は滑らか、表面は黒灰色を呈するが外縁部は紫褐色をなし光沢がやや認められる。土砂が固着し一部が大きく汚れている。下面も大きくは平滑であるが、細かくは起伏し凹凸が激しい。表面は黒灰色で光沢はあまりなくわずかに紫褐色を呈する部分もある。土砂固着がやや多く不明な部分が多い。中央に灰黒色で光沢を持つ鍛造剥片様遺物が付着しており、植物質痕と気孔も認められる。分割された破断面は土砂固着のため不明。右側下部で着磁が強い部分があり、ここを分析対象にするか。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
26 |
1KJ11B |
3565FJOT |
0513SD |
111108 |
小型椀型鉄滓 |
21.8 |
4.0 |
3.8 |
1.3 |
1 |
× |
ほぼ完形の椀型鉄滓である(実測図は上下逆かも)。側面の一部が欠損しているかもしれない。上面は大きく平滑、細かくは凹凸が多数激しく中規模の気孔が散見される。土砂の固着があり、表面は不明な部分が多いが黒褐色を呈して光沢がわずかに見られる。下面は中央が凹み(よって上下が逆の可能性がある)、部分的に外縁部に凸部がある。土砂が固着し銹化するが黒灰色の滓部が観察された。上面全体に着磁反応がみられどこで切断して分析しても可か。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
27 |
1KJ11B |
3564KL |
0528SE |
111122 |
1/2分割小型椀型鉄滓 |
6,4 |
2.4 |
1.8 |
1.3 |
1 |
× |
前方端部が欠損する小型椀型鉄滓。上面は右側に大きく凹むが、表面は土砂が固着し銹化して茶褐色を呈し不明。欠損部から内部はわずかな光沢を持つ黒灰色のガラス質が観察される。小気孔は多数存在し、植物質痕や炭化物がわずかに散見される。下面は椀型に盛り上がるが、固着が激しく表面はなだらかとしか言えない。炭化物をかみ込む。中央部を切断して分析か。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
28 |
1KJ11B |
3564KL |
0528SE |
111031 |
含鉄遺物 |
34.3 |
5.8 |
2.9 |
2.8 |
1 |
× |
固着が激しく形状が不明の含鉄遺物。本来は頭部を持つ鉄製品か。小石などをかみ込み一部がわずかにひび割れる。銹化した遺物本体は茶褐色〜黒褐色を呈するか。当初は滓が重複したものと見たがそうではないようである。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
29 |
1KJ11B |
3564KL |
0528SE |
111201 |
1/2分割椀型鉄滓 |
184.8 |
6.8 |
6.0 |
4.0 |
1 |
× |
上面と下面と後方側面と右側面はほぼ全て生きており、前方と左側面のみが欠損している椀型鉄滓。最大の厚さが4.0cmを測るどっしりとしたタイプである。上面は大きく平滑、一部滓や石片が付着し突出部を造る。表面は土砂が固着銹化して不明だが、部分的に黒灰色〜茶褐色で光沢がわずかに見られるガラス質の表面が観察され、気孔は認められない。破断面に小気孔が多数存在し、小石もかみ込む。下面は大きく椀型に盛り上がり表面は土砂の固着が激しい。細かく凹凸があるとみられるが不明。前方端部に灰黒色の滓表面が露出し着磁がやや強い。ここを中心に分析するのが妥当か。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。羽口先端熔融物と推測すると特記したのは何か特別な意味があるのか? |
|
30 |
1KJ11B |
3564KL |
0528SE |
111207 |
小型椀型鉄滓 |
42.1 |
4.8 |
4.2 |
1.8 |
1 |
× |
ほぼ完形の椀型鉄滓である。側面の一部が欠損しているかもしれない。上面は大きくは平滑、中央がやや凹み、細かく凸部があって波打つ。表面は微小鉄片や滓片が多数固着し銹化、茶褐色を呈する。破損して見える滓内部は、黒灰色で光沢があり小規模な気孔が多数見られる。下部は大きくは少し盛り上がるが、細かく観察すると激しく凹凸があり、凹部に大きめの植物質痕が多く認められる。それ以外の表面は滑らかで灰褐色〜黒褐色で光沢はほとんどなく、凸部欠損面に気孔が観察される。上面中央で着磁が強い部分があり、そこを切断して分析するのが妥当か。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
31 |
1KJ11B |
3565MNRS |
0631SE |
111122 |
鉄製品(釘) |
13.2 |
7.0 |
1.8 |
1.5 |
2 |
○ |
下半部が折れ曲がって接する鉄釘である。表面は土砂が固着して形状は明瞭とはいえない。頭部はT字状に加工され、その両側面で黒褐色を呈する本体銹化部が観察される。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
32 |
1KJ11B |
3565MNRS |
0631SE |
111125 |
含鉄遺物 |
16.0 |
5.3 |
1.6 |
1.4 |
2 |
○ |
途中で太さが変わって段差を持つ棒状の含鉄遺物である。本来の鉄製品の形状は特定が難しい。表面の土砂の固着が激しいが、ひび割れが数ヶ所で散見され、その内部は茶褐色にみえる。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
33 |
1KJ11B |
3565JO3564FGK |
0767SK |
111128 |
小型椀型鉄滓 |
17.1 |
3.6 |
3.2 |
1.9 |
1 |
○ |
あまり欠損していないと思われる小型椀型鉄滓である。上面は大きく凹凸が激しく、大規模な気孔も存在する。表面は黄褐色粘土が固着し、この中に炭化物などもかみ込む。一部でわずかに光沢がある黒灰色の粒状滓様遺物が付着していた。下面は大きくは平滑と見られるが、細かくは凹凸が激しく、表面は薄く土砂は固着しクリーム色を呈する。破面で見ると光沢のない黒褐色の滓本体が見え、気孔が少ない。東側が着磁が高めだが全体的には偏りは認められなかった。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
34 |
1KJ11B |
3565JO3564FGK |
0767SK |
111128 |
椀型鉄滓 |
470.2 |
8.8 |
8.3 |
3.1 |
2 |
○ |
形状から椀型鉄滓と見たが、疑問点もありその評価に自信がない(インゴットの可能性もある)。上面や下面、側面は概ね欠損することなく完形か。上面は平滑で細かい起伏もなく、中央が滑らかにやや凹む。表面は薄く土砂や微細な鉄片・滓片が固着し銹化する。表面は黒褐色を呈しわずかに光沢が認められる。下面は盛り上がり細かく見ると滑らかである。表面はやや厚く土砂が固着し、炭化物や滓や小石がかみ込む。上下面にほとんど気孔が見えないし、着磁が強いことから含鉄遺物(鉄素材そのもの)の可能性もある。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。やはり鉄塊系遺物の評価が妥当だろう。 |
|
35 |
1KJ11B |
3564O |
0810SK |
111122 |
椀型鉄滓 |
226.3 |
7.2 |
7.1 |
2.7 |
3 |
○ |
前方部がわずかに欠損するほぼ完形の大型椀型鉄滓。上面は大きく平滑で緩やかに起伏がありなだらか。表面は薄く土砂が固着し銹化しているが、黒灰色〜灰褐色を呈しわずかな光沢を持つ。細かく観察すれば凹凸が激しい。下面は大きく盛り上がり、半分は土砂が厚く固着する。表面は細かく激しく凹凸があり、部分的に欠損する。滓本体は黒灰色〜黒褐色を呈し光沢がわずかで小規模な気孔が散在する。中央の左手前で着磁が強い部分があり、ここを切断して分析か。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
36 |
1KJ11B |
3564O |
0810SK |
111122 |
重複椀型鉄滓 |
92.9 |
5.3 |
5.2 |
3.2 |
0 |
× |
ほぼ完形の椀型鉄滓で、平面の規模からみるとやや厚手となる。側面がどの程度残存ずるかは不明瞭である。上面は大きく平滑で中央部が凹み緩やかに起伏がある。表面はやや厚く土砂が固着し、土砂が薄いところは銹化して茶褐色を呈している。下面は不均衡に盛り上がり滑らか、2〜3個の突出部と一つの大きな凹部があり、表面は土砂が厚く固着して不明。特に着磁が強い部分はないので、どこを切断しても可。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
37 |
1KJ11B |
3563L |
0810SX |
111124 |
羽口(椀型鉄滓か) |
75.1 |
5.6 |
5.1 |
4.3 |
1 |
○ |
羽口(炉壁もか)が熔融して滓化した一部と見られる。羽口と炉壁本体の位置を推定することは難しい。ここでは図のように想定。前面は大きくわずかに盛り上がるが、細かくは波打つ。表面は黒灰色〜紫褐色を呈しやや光沢があり滑らか。中〜大規模な気孔が多数見られ、分離した破面も観察される。裏側(図の下方右側)の表面は、黒灰色を中心とした色調で光沢はややあり、中〜大規模の気孔が見られる。部分的に「しわ」状の細長い起伏がある。この裏側で着磁の強い部分が観察される。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
38 |
1KJ11B |
3563L |
0810SX |
111124 |
羽口 |
50.3 |
4.5 |
4.3 |
3.7 |
1 |
○ |
羽口の先端と推定される遺物である(あるいは炉甕の可能性もある)。前面は細かく凹凸が激しく、前方程土砂の固着や銹化が激しくなる。表面は黒緑色で光沢が強くあり、小〜大規模な気孔が散見される。その奥側は粘土が滓化する前段階であり黒灰色に発色する。羽口内壁下端部に黒褐色滓で構成される突起がある。着磁の強い部分が偏在するが、分析はどこでも可か。 |
分析項目は妥当と思われる。こちらでは羽口の可能性を優先したが、鋳造用溶解炉内面の小破片という解釈は理解できる。 |
|
39 |
1KJ11B |
3563L |
0810SX |
111124 |
椀型鉄滓 |
63.3 |
5.8 |
5.3 |
3.2 |
0 |
× |
側面の四周が欠損したものと推測される椀型鉄滓。上面と下面は残存する。上面は大きくは平滑でわずかに中央が凹みなだらかに波打つ。表面は土砂が固着し銹化しているため不明だが、大きな気孔があるため質感は極めて軽い印象がある。左側を中心に小規模気孔を多数持つ灰白色を呈する部分があり、これが炉壁の一部と思われる。下面は大きく椀型に盛り上がり、細かな凹凸はほぼ認められない。表面は土砂の固着と銹化が激しいが、部分的に光沢がない黒褐色の滓本体が観察される。着磁反応は全体的にあるが弱い。どこで分析しても可か。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。風化気味でやや白味を帯びるという評価はできなかった。 |
|
40 |
1KJ11B |
3563S |
0810SX |
111122 |
鉄製品(釘) |
8.4 |
5.5 |
1.4 |
1.5 |
1 |
× |
わずかに折れ曲がる釘である。酸化土砂に覆われ形状の詳細は不明。頭部はT字状になると思われる。釘本体は銹化が進んでいると見られ、メタル反応もなく、破面の観察から茶褐色を呈しているようである。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
41 |
1KJ11B |
3563S |
0810SX |
111122 |
鉄製品(釘) |
16.8 |
6.9 |
2.3 |
1.4 |
1 |
× |
わずかに折れ曲がる釘である。酸化土砂に覆われているが、一部剥離し内部が観察される。釘本体は銹化してわずかな光沢を持つ黒褐色を呈している。本体部は着磁も強いのでこの部分を切断して分析するのが妥当だろう。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
42 |
1KJ11B |
3563Q |
0810SX |
111122 |
鉄塊系遺物 |
32.5 |
3.0 |
2.7 |
2.0 |
2 |
○ |
礫状の鉄塊系遺物である。崩れた立方体を呈しており、表面は銹化して茶褐色をなすが、その固着部もひび割れが進行し破損しやすい状態で、かなり表面が剥離している。本体の表面は黒色〜黒褐色で細かく銀色に発色するものが散在する。分析に際しては、資料を切断してもよいが、状況をみて破損した破片を活用することも考慮したい。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
43 |
1KJ11B |
3563Q |
0810SX |
111122 |
椀型鉄滓か |
105.0 |
11.2 |
5.0 |
3.2 |
1 |
○ |
平面が三角形状の変形椀型鉄滓である。上面と下面と前方側面が生きており、他の側面は破損していると見られるが確定的ではない。上面は凹凸が激しく、所々土砂の固着があるが、表面は黒灰色〜紫褐色を呈し光沢がわずかに認められる。一部表面が「しわ」状によじれ、破面で小規模気孔が多く見られる。右側で別の椀型鉄滓が重複していると見られる。この重複した別滓で着磁が強い部分が認められた。下面は大きくは平滑で緩やかに波打つ。灰黒色〜紫灰色でほとんど光沢を持たない表面には、気孔がまばらに存在し、土砂が固着した部分も目立つ。別滓が重複した部分の裏側には白色粘土が付着しており、ここが炉壁から剥がれた部分かもしれない。どこを分析するべきかは迷う資料である。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。炉材粘土熔融物主体のガラス質滓という評価は妥当と思われる。 |
|
44 |
1KJ11B |
3563NS |
0824SK |
111125 |
鉄塊系遺物 |
53.1 |
3.5 |
3.5 |
3.3 |
1 |
○ |
礫状の鉄塊系遺物である。崩れた立方体を呈しており、表面は土砂が固着し銹化するが、ひび割れて一部は剥離している。剥離して観察される面は一見炭化物と植物質痕のように見える(案外これが本体なのか?)が、資料内部は黒褐色を呈していると見られる。分析に際しては、資料を切断してもよいが、状況をみて破損した破片を活用することも考慮したい。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
45 |
1KJ11B |
3563NS |
0824SK |
111125 |
鉄塊系遺物 |
21.3 |
2.7 |
2.6 |
2.5 |
1 |
○ |
礫状の鉄塊系遺物である。崩れた立方体を呈しており、表面は土砂が固着し銹化するが、ひび割れて一部は剥離している。剥離して観察され資料内部は黒褐色を呈していると見られる。部分的に炉材をかみ込む。分析に際しては、資料を切断してもよいが、状況をみて破損した破片を活用することも考慮したい。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
46 |
1KJ11B |
土サンプル |
0824SK |
111124 |
小型椀型鉄滓 |
14.5 |
4.6 |
3.3 |
1.4 |
1 |
× |
ほぼ完形の薄い小型椀型鉄滓である。側面の一部が欠損しているかもしれない。上面は中央部に凹部が存在する他は大きく平滑、細かく凹凸があって、表面は土砂が固着し銹化している。植物質痕や炭化物が観察され、資料本体は黒褐色で気孔が確認できない。このため含鉄遺物である可能性もある。下部は大きくは平滑で、細かく観察すると凹凸がある。土砂による固着と銹化が認められる。左側に着磁が強い部分があり、そこを切断して分析するのが妥当か |
特になし。分析項目も妥当と思われる。鍛造剥片が付着するという指摘はできなかった。 |
|
47 |
1KJ11B |
土サンプル |
0824SK |
111124 |
1/2分割小型椀型鉄滓 |
7.2 |
3.8 |
3.4 |
0.8 |
1 |
× |
薄い小型椀型鉄滓で、上面と下面は生きているが、側面の大部分は欠損していると見られる。上面は大きくは平滑で細かく波打つ。表面は土砂が固着し銹化しているが、部分的に観察できる滓本体は黒灰色で光沢がやや認められる。気孔や凹部を持ち右後方に鉄片をかみ込む。下面は浅く大きく盛り上がるが基本は平滑、表面は細かく波打つ。黒灰色〜黒褐色〜黒緑色を呈しているが、全体に色合いはやや薄く、光沢がややあってツルンとしている。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
48 |
1KJ11B |
土サンプル |
0824SK |
111124 |
鍛造剥片5点 |
1.0 |
1.0 |
0.6 |
- |
1 |
× |
大型廃棄土坑0824SKの埋土のうち炭化物が集中的に含まれる土壌を水洗篩別作業した。その結果、抽出された微小遺物の中で鍛造剥片の可能性がある5点が本資料である。最大の資料は表面が紫褐色を呈し光沢がなく、黒褐色でゴツゴツした部分も認められる。破砕された微小滓片か。次に大きい資料は凹部を持ち表面は黒灰色を呈し光沢がややあり気孔も認められる。同じく破砕された微小滓片か。残り3点の資料も同類と見られる。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。「鍛造剥片の剥離片」は「鍛造鉄器の剥離片」の誤記か? |
|
49 |
1KJ11C |
3560FK |
0915SK |
111208 |
1/4分割椀型鉄滓 |
19.5 |
3.4 |
2.9 |
1.6 |
0 |
× |
1/4分割の椀型鉄滓である。上面と下面および前方側面は生きていると見られ、全体としてはやや厚手の小型椀型鉄滓といえるか。上面は大きくは平滑だが,細かくは外縁部付近で凹凸が認められるが全体としては滑らかであった。右側の部分は灰黒色で光沢はなく小気孔が多数存在する。一方左側の部分は灰黒色で光沢はわずかにあり気孔はない。両側も土砂が部分的に固着している。下面は大きく凹凸があり、表面は土砂の固着が激しい。部分的に観察される滓表面は灰黒色で光沢も気孔もない。右側前方で着磁がやや強いのでその部分を中心に分析か。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
50 |
1KJ11C |
3560FK |
0915SK |
111208 |
含鉄遺物 |
6.5 |
4.0 |
2.0 |
1.4 |
1 |
× |
頭部がL字状に折れる棒状の含鉄遺物である。釘の可能性が高いが確定するには至らなかった。表面は土砂の固着は激しく、その表面はわずかにひび割れが生じている。下半部で着磁が強い部分がある。ここを中心に切断し分析か。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
51 |
1KJ11C |
土サンプル |
0915SK |
111208 |
鍛造剥片5点 |
0.1 |
0.3 |
0.2 |
- |
1 |
× |
炭化物が互層に堆積する長方形廃棄土坑0915SKの中で炭化物を中心とした土壌を水洗篩別し抽出した鍛造剥片様微小遺物5点である。やや大きめの資料2点は、表裏両面が灰黒色で光沢はないが平滑であり、部分的に「しわ」状の凸部が認められる。この他の小規模な3点は破砕された滓片の可能性が高い。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
52 |
1KJ11C |
3560FK |
0915SK |
111208 |
粒状滓3点 |
0.1以下 |
0.2 |
0.2 |
0.2 |
1 |
× |
長方形廃棄土坑0915SKの炭化物を中心とした土壌中から水洗篩別して抽出した粒状滓様微小遺物3点である。表面は灰黒色で光沢はわずかにある球状遺物で、先端が尖る突起が認められる。粒状滓の可能性が高い。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
53 |
1KJ11C |
土サンプル |
0949SK |
111209 |
小型椀型鉄滓 |
35.2 |
3.8 |
3.2 |
1.8 |
1 |
× |
粘土を貼り複雑な床面を作り出した不定形土坑0949SKの内部に堆積した土壌を水洗篩別して抽出した小型椀型鉄滓である。粘土床面は最下部でわずかに被熱痕が観察され、肉眼では石灰質物質(貝か骨類)も視認された。遺物はやや薄手の椀型鉄滓で側面はほぼ全面的に欠損しているか。上面は大きくは平滑、中央は凹み、細かくは凹凸が激しい。表面は部分的に銹化するが黒灰色〜紫褐色を呈し光沢はわずかで少し「しわ」状のよじれが生じており、気孔は少し観察された。下面はやや盛り上がるが平滑で細かく見れば凹凸は激しい。表面は部分的に銹化し灰褐色〜黒褐色を呈し光沢はない。気孔は中規模のものが少し認められる。側面も滑らかであるが破面が風化したものか。右側に着磁が強い部分があり、ここを中心に分析を行うのが妥当か。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
54 |
1KJ11C |
土サンプル |
0949SK |
111209 |
銅製品 |
0.9 |
1.4 |
0.7 |
0.2 |
0 |
○ |
不定形土坑0949SK内の土壌を水洗篩別して抽出した銅製品小破片である。細長い板状の製品で本来の製品が何かは特定できない。上下端部が欠損するが側面は生きており幅や厚さは特定できる。面中央に円形の凹部が存在する。資料を破壊して分析しても構わない。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
55 |
1KJ11C |
土サンプル |
0949SK |
111209 |
流動滓3点 |
0.9 |
1.0 |
0.9 |
0.8 |
1 |
× |
不定形土坑0949SK内の土壌を水洗篩別して抽出した流動滓破片3点である。あるいは熔融した炉壁片の可能性もある。1点のみ図化した。表面は灰黒色を呈し光沢はわずかに認められる。全材を分析か。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
56 |
1KJ11C |
土サンプル |
0949SK |
111209 |
鉄片5点 |
0.5 |
0.7 |
0.6 |
0.2 |
1 |
× |
不定形土坑0949SKの内部に堆積した土壌を水洗篩別して抽出した微小鉄片5点である。片面は赤紫色を呈し光沢はない。もう片面は紫褐色〜黒褐色を呈し光沢はない。両面とも平滑だがやや鱗状に凹凸が認められる。鍛造剥片とはいえず、滓の破砕片か。 |
分析項目は妥当と思われる。鍛造鉄器片の可能性も考慮したが、表面の発色からそういう認識はできなかった。 |
|
57 |
1KJ11C |
土サンプル |
0949SK |
111209 |
鍛造剥片5点 |
0.1以下 |
0.3 |
0.3 |
- |
2 |
× |
不定形土坑0949SK内の土壌を水洗篩別して抽出した鍛造剥片様遺物5点である。5点中1点のみ両面が光沢の強い灰黒色を呈する遺物があり、これは鍛造剥片である可能性が高い。残りの資料は前述した資料No.56の小規模なものである可能性が高い。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
58 |
1KJ11C |
3561MQR |
0979SK |
111216 |
小型椀型鉄滓 |
10.6 |
3.2 |
3.0 |
1.2 |
1 |
○ |
廃棄土坑0978SKから出土した椀型鉄滓である。上面と下面と一部の側面は生きているが、側面の2/3が欠損している。上面は大きくは平滑、細かく見れば凹凸は激しく、表面は土砂が固着している。状態の良い部分で表面が灰褐色〜黒色を呈するガラス質が観察され光沢がある。下面は大きくは平滑でやや盛り上がる。細かくは波打っており、表面は黒灰色を呈し光沢はわずかに見られる。ただし外郭へ向けて上面と同様な状態に変化している。気孔は少なく、ガラス質の質感は軽い。上面に着磁がある。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。羽口先端熔融物と推測すると特記したのは何か特別な意味があるのか? |
|
59 |
1KJ11C |
土サンプル |
0992SK |
111216 |
微小鉄片 |
0.5 |
1.4 |
1.2 |
0.5 |
2 |
× |
炭化物を多量に含む廃棄土坑0992SKの土壌を水洗篩別し抽出した微小遺物である。表面は灰褐色で光沢はなく、気孔も少なくゴツゴツした状態である。破砕された滓片か。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
|
60 |
1KJ11C |
土サンプル |
0992SK |
111216 |
流動滓 |
0.5 |
1.3 |
0.9 |
0.8 |
1 |
× |
炭化物を多量に含む廃棄土坑0992SKの土壌を水洗篩別し抽出した流動滓である。上面は黒灰色〜紫褐色で光沢はややあって、凹凸があるものの滑らかである。下面は剥離したものと見られゴツゴツした表面になっており炉材と見られる白い材も認められる。 |
特になし。分析項目も妥当と思われる。 |
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