牛牧遺跡の剥離技術の解明のため、上の写真左の鹿角を用いて、剥離実験を行った。使用した石材は二上山産のサヌカイトである。ハンマーは先端径が約3ミリとやや広めであり、牛牧遺跡で用いられた先端の鋭いハンマーとはやや様相が異なる。しかしながら、ハンマーの材質と石材の関係、および剥離方法の違いによる剥離面様相を確認する目的には、力学的には何ら支障はない。
写真右は鋸歯縁の製作例である。ハンマーを実験剥片に急角度に当てて押圧で剥離を行った。急角度の剥離の関係で、バルブがよく発達しているものの、コーンはさほど明瞭ではなく、打点部に潰れも観察できない。これはソフトハンマーの特徴であり、鹿角はサヌカイトに対してはソフトハンマーとして作用していることがわかる。
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